クマ撃ちの女を読んだので、さっそくレビューします。
総合評価&あらすじ
総合評価
★★★★(星4)
猟師。名前は聞いたことがあるけど、実際どんなものかわかっていない自分にとって、興味を持って入りこめる作品でした。
あらすじ
小坂チアキ、職業・兼業猟師。 彼女が狙うのは、“日本最強生物”エゾヒグマ……!! 北海道を舞台に描かれる、命がけの狩猟劇!!
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ライターの伊藤カズキは、珍重社を退社後、売れずに悩んでいた。
どうすべきかと悩んでいた時、「特集 狩ガール急増!狩猟ブーム到来か!?」という記事を目にする。
伊藤は、祖父が猟友会に所属していたことを思い出し、相談してみた。
すると、祖父からは、
- 昨年一頭のヒグマを仕留めた狩りガールが凄い
- 若い女性で、しかも単独でクマ撃ちなんて聞いた事ない
という話を入手した。
そんなことから、伊藤はチアキにクマ撃ちの同行取材を申し出るのだった。
この漫画の、ここが良かった
猟師・ハンターが分かる
読む前
獲物を遠くから狙って撃つ
↓
ヒットする
↓
獲物を回収する
みたいに考えていましたが、そんなシンプルなものではなかったです。
まず撃つまでが大変。
1巻~2巻だけでも、次の知識が必要なことがわかりました。
- 法律の知識
– 撃つ直前まで弾を装填してはいけない
– 狩猟できる時期、時間、場所
– 散弾銃を10年所持しないとライフルの所持許可が降りない
– 弾を放置してはいけない
– 熊の胆は売ってはいけない(薬事法)
– 撃ってよいのは鳥類26種、獣類20種
※1巻では、鳥類28種、獣類20種と記載。現在は、ゴイサギとバンが狩猟鳥獣の指定から解除 - 足跡の知識
– 足跡学 - 森の歩き方
- 銃の知識
- ヒグマの知識
– どこが急所か?
専門用語が出てきますが、読者が置いてきぼりにならないように注釈がついています。
そして、撃つ時も、ただ撃てばよいというものではなく、
- 確実に仕留められるか?
- 自分の命が危うくならないか? など
を考えて打たねばならず、まさに命がけの仕事だなと思った次第です。
猟師の方には、頭が下がる思いです。
※参考:ハンターになるには
環境省 狩猟ポータル
銃が分かる
バイオハザードやメタルギアソリッドなどのゲームの世界でしか、銃を知らない私ですが、銃に詳しい人にとっては、その点でも興味を持てるのではないかと思います。
メタルギアソリッド(オンライン)では、私は主にM4を使ってました。
次のものは、作中に出てきた銃です。
ウィンチェスターM70 プレ64
- ボルト式ライフル
- 1964年以前に製造されたもので、それ以降のM70と比べて信頼度が高い
- 滅多な事では薬莢が貼りつかない
- 撃ってよいのはクマ、シカ、イノシシ
1巻の最後に、この銃の説明がありますよ。
ウィンチェスターM1912(M12)
- 散弾銃
- 鳥さん用
エアアームスS410
- 空気銃
- 鳥さん用
- プレチャージ式
威力、射程、連射性が比較的高く使いやすい
2巻の終わりに、この銃の説明がありますよ。
レミントンM870
- 単純ゆえに頑丈。世界的に信頼されている銃
※参考:「クマ撃ちの女」の銃の描写がリアルなワケ↓
「銃」を取り扱っている会社が製作にかかわっているからなんです。
有限会社豊和精機製作所
株式会社ハウティングネット
有限会社シューティングサプライ
熊の生態が分かる
日本各地で熊の被害が出ていることから、熊は怖いんだなという印象を持ってましたが、さらに印象が変わりました。
読む前
・性格は臆病
・ヒグマは人間を恐れていることが多く、ふつう人間の存在に気付いた時点で逃げる
→だから、熊鈴を鳴らしたり、ラジオをつけて、熊に自分の存在を知ってもらう
・いざという時は、熊撃退スプレーを持っていれば大丈夫
読んだ後
・性格は臆病なのもいるが、好戦的なのもいる
・ヒグマは人間を恐れているものもいるが、人間に対して好戦的なものもいる
・熊は移動スピードが速い。熊撃退スプレーを準備する間もなく襲われることも
漫画では、クルマに乗り込もうとしたチアキたちに、襲い掛かってきました。
あのシーンでは、チアキたちはヒグマを威嚇したり、背を向けて逃げるようなことはしていないのに、襲い掛かってきたことに恐怖を感じました。
ヒグマやツキノワグマに対する認識を改めて、持たないといけません。
正しい知識をつけて、正しくヒグマを恐れましょう
※参考:ヒグマとの事故をなくすために
公益社団法人 北海道国際交流・協力総合センター ヒグマリーフ
印象に残ったセリフ・シーン(ネタバレあり)
「チアキぃいいい!!」
「助けてぇえ」
主人公のチアキと姉は、狩猟の帰りにヒグマに出会う。
ヒグマとの距離は、数十メートルはあるか。
すぐ横には、自分たちの車がある。乗り込めば助かりそうだ。
いや待て、背をむけて乗り込むのは危ない。背中を見るとクマは本能的に襲いたくなる。
姉はチアキを先に、助手席側から車に乗るように指示する。
姉は、運転席側から乗り込もうとした。
もう少しで車に乗り込めそうと思った矢先、車に立てかけてあったスキー板が倒れ、運転席のドアが閉まらなくってしまう。
そのタイミングで、熊が全力で突進してきて、姉を吹き飛ばし、姉の足にかぶりついた。
何もできないチアキ。
姉は、足にかぶりつかれたたま、車の外へ引きずり出されてしまった。
2巻の最後(17話)のシーンです。
クマって可愛い!なんて思えることなく、
- クマのしつこさ(狙った獲物は逃さない)
- クマの力強さ(車から人をひきずり出す)
- クマの素早さ(数十メートルを一瞬で走る)
これらに恐怖をいだくシーンでした。
17話の終わりにある「魔が差す」コラムの内容がせつない
こんな人にオススメ
- 熊による被害のニュースに関心がある人
- 熊の怖さを、緊迫感とともに知りたい人
- 猟師やハンターについて知りたい人
2023年11月現在、日本各地で熊による被害が、多くなっています。
「近くの公園に熊が出没した」
「家畜が襲われた」
というニュースも出ますが、その立場になってみなければ、わからないというのも事実。
その気持ちを少しでも理解するのに役立つのが、この漫画。
この漫画は作者である安島薮太(あじま・やぶた)さんが、北海道での狩猟に同行し、ヒグマに襲われた猟師の方から体験談も聞いているため、リアルさに納得です。
また、ヒグマに襲われるシーンも、緊迫感であふれてます。
映画やドラマでは、その緊迫感が伝わりやすいのですが、漫画でそこまで手に汗握る状態になったのは、なかなかないのかと思います。
漫画を通じて、その世界を知ることで、熊の怖さ、猟師やハンターへの理解が進んでほしいと思います。
クマって可愛い!んなわけないやろ
読んでもらった方は、そう思ってもらえると思います。
口コミ
クマ撃ちの女の「レビュー」を、要約して5個のせておきます。
□クマ撃ちの危険性と厳しさが分かるマンガ。星5
現実にクマ被害が深刻化している日本。
クマの生態や猟師の狩りを学びたい方は必見です
□すごい!星5
本物の迫力。畏敬の念を感じます。
□語尾を伸ばすセリフが読みづらい。星3
ほぼ毎回、語尾を伸ばすのが読みづらい。
演出的に、何かを狙ってのものだと思うので、ここぞという時だけにしてほしい。
□ヒグマが怖くない・・星3
いまいちヒグマに迫力がない。
その他はいいです。次も買います。
□クマ撃ちという非日常を教えてくれる。星5
クマ撃ちという視点が面白い。
知らない世界をこうして形にして教えてくれる作者に感謝!
引用元:Amazon
Amazonプライムで読めます
1ミリでも気になったら、無料サンプルだけでも読んでみてください。
ちなみに、この漫画は、Amazonプライム会員であれば、1巻~2巻が無料で読めますよ。
追伸(P.S.)
※2023年11月24日現在、クマ撃ちの女は、12巻まで発売されています。「kindle unlimited」と書かれている1巻~5巻がKindleの読み放題の対象です。(画像の赤い矢印)
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