「あんのこと」を見たのは映画のポスターとあらすじに惹かれたから。
これは見なきゃいけないと使命感にかられたように映画を見始めました。
あらすじ
香川杏、21歳。シャブ中でウリの常習犯。ホステスの母親と足の悪い祖母と、3人で暮らしている。子どもの頃から、酔った母親に殴られて育った。小4から不登校。初めて体を売ったのは12歳で相手は母親の紹介だった。希望はおろか絶望すら知らず、ただ繰り返される毎日。そんな薄暗闇の世界が、ある出会いをきっかけに少しずつ変わり始める。だが、やっと繋がった細い糸も突然のコロナ禍に断ち切られてしまい──。
(Amazonから引用)
実話をベースに制作された映画です。
母からの暴力・覚醒剤…コロナ禍に自死した25歳女性の壮絶人生
相談女性の下着姿を撮影で逮捕「正義感溢れる元警部」の黒い疑惑
総合評価:★★★★☆ かなりオススメ
できればハッピーエンドで終わってほしかった。
薬から抜け出そう、母親から離れようとした香川杏ちゃん(河合優実)の希望や頑張りが実って良い結末で終わってほしかった。実際は、暗い結末になってしまったのが残念だった。
幸せな映画を見たい、ハッピーエンドな映画を見たい人にはまったくおすすめできない。
多くの人にはおすすめできないけど、★★★★☆ かなりオススメ。いつかもう一回見たい。
杏ちゃんは、めちゃめちゃいい子
足の不自由なおばあちゃんを介護できるようになりたいからと言って、介護施設で働くシーンがあります。その施設を利用するおばあちゃん、おじいちゃんへの接し方はすごく自然で素敵。
無理やり子供を預けられたけど、必死に子育てする杏ちゃんはとっても健気。家族から暴力を受けていた人は、自分の子供に対しても手を上げてしまうこともあると聞くけども、杏ちゃんは子供に対してとってもやさしかった。赤の他人の子供を一生懸命育てて、気づいたことをメモして忘れないようにするのは簡単にはできない。
杏ちゃんは自分には学がないと自覚しているので、ドリルで勉強を始めたり、学校にも行ったりしてこれまでの遅れを取り戻そうとしているのは、偉いとしかいいようがない。
そんな前向きな杏ちゃんが、薬に再び手を出して、積み上げてきたものを壊してしまった自責の念にかられて自死してしまったのは非常に残念だった。
多々羅保役の佐藤二朗の演技
杏ちゃんがいる取調室で急にヨガのポーズをやり始めたのには笑ってしまった。そして、とまどいながらも同席している女性警察官がヨガのポーズを真似始めたのは目が点。
佐藤二朗は刑事である多々羅保が最も似合っている俳優ではないだろうか?
薬から脱却しようとしている人に手を差し伸べつつも、裏では悪いことをやっている二面性を演じられるのは佐藤二朗しかいない。イケメンの俳優では成り立たないのだ。
この映画、ここがむかついた
子供を預けた親(三隅紗良)が幸せそうだったのが、むかついた。
三隅紗良が預けなかったら杏ちゃんは、母親に会うこともなかっただろうし、子供を人質にとられて「金稼いでこい」なんて言われなかっただろうに。もし母親に会ったとしても家に戻らないという選択肢もとれだだろうに。「墓参りをしたい」なんてどの口がいっているんだろうと思って、イライラしてしまった。
何が、彼女の未来を奪ったのか?
理由を考察します。
コロナ?
コロナによって、介護施設の人数削減が必要になり、人とのつながりがなくなってしまったのは影響があったと思う。通っていた学校も自宅学習になってしまった。もし少しでもみんなとつながる機会があったら、踏みとどまれたのではないか?
サルベージ赤羽がなくなってしまったから?
これも影響はあったはず。やっぱりつながりがなくなったことは大きい。特に多々羅保には薬から脱却する機会を何度ももらっているので、精神的な支えがなくなってしまったのは大きい。
桐野達樹(稲垣吾郎)が、多々羅のことを記事にしたから?
記事にするのは仕方ない。やり方はあったかもしれないが、悪いことをしているのを暴くのがジャーナリズムであるし、桐野達樹のことを攻める気にはならない。
母親に連れ戻されてしまったから?
ひどい家庭環境は人をダメにする。何度も変わろう変わろうとする杏ちゃんを引き戻すように、母親が登場してくる。杏ちゃんを家に連れ戻すために都合の良いことを言うが、家に戻った途端杏ちゃんに暴力をふるったり、金を稼いで来いと言われる状況は、さすがに杏ちゃんも苦しかったはず。健気な杏ちゃんのことを何度も裏切ったのが、本当に残念だった。
赤ちゃんを預けられたから?
赤ちゃんを無理やり預けられてしまったことも発端の一つであっただろうと思う。それが原因で母親に子供を人質のようにとられて、金を稼いでこいと言われ、帰ってきたら児童相談所が引き取っていったと言われたら、メンタルは崩壊するだろう。
杏ちゃんの意志が弱かったから?
そんなことはない。これだけは絶対ない。あんだけ頑張っていたんだから。
色々な理由が考えられるのだけれども、一つだけではなくて、複数の出来事がすべて重なってしまったから薬に手を出してしまったのだと思う。まさに貫井 徳郎の「乱反射」を思い出させるような出来事でした。
ロケ地を紹介
ロケ地を紹介します。
東京都北区赤羽
赤羽は東京都の北部、埼玉県との県境にある街です。京浜東北線、埼京線が通ってて、便利。新宿から電車で20分、池袋からも近い場所です。
駅前は居酒屋が多くて昼間から居酒屋から出る煙でモクモクしています。でも、ちょっと歩けば静かな住宅街もある。庶民的な雰囲気が強くて、リアルな東京の日常が感じられるヤバい場所なのです。
サルベージ赤羽という更生施設が映画に出てきていましたが、一部のロケは赤羽で行われたようです。一番街、OK横丁、赤羽会館、赤羽小学校が映画のシーンとして出てきました。
多々羅保がビールや中華料理などが好きなのもあって、赤羽が選ばれたのかもしれないと思いました。
JR十条駅近くの富士道踏切
登場シーンは0:37:47。杏が踏切で埼京線の通過を待っているシーンです。
杏の背後には、十条銀座商店街が映っていました。
東京都北区の十条駅近くにある歴史ある商店街で、昭和の雰囲気が残る下町情緒あふれる街並みが特徴。
175店舗の個性豊かな店が軒を連ねています。
府中市役所
府中市役所旧本庁舎東玄関等で撮影が行われています。
中華麺舗「虎」
東京都大田区の中華麺舗「虎」も撮影場所として利用されました。
大田区は羽田空港がある便利な場所で、東京湾にも面しています。池上本門寺などの有名な寺もあって、観光スポットもあります。
中華麺舗「虎」さんは他のドラマでも利用されているようです。
喫茶まりも
桐野達樹(稲垣吾郎)が、多々羅のことを聞き出す場所として登場。登場する時間は0:56:25。
昭和レトロな喫茶店で、ドラマの撮影でよく使われています。
文春編集部
桐野達樹(稲垣吾郎)の勤務地。撮影場所は文春編集部です。
正義感、友情、下心…揺れ動く週刊誌記者・稲垣吾郎 『あんのこと』入江悠監督「独特の居心地の悪さを絶妙に体現してくれました」
東京拘置所
登場シーンは0:10:50。多々羅保がガードレールに体を預けて、杏を待っているシーンです。
この後、多々羅は杏を中華料理店に連れていきます。
映画では東京拘置所から中華料理店に直接向かっていますが、実際は東京拘置所→赤羽→○○○→中華麺舗「虎」の順で撮影場所が変わってます。
Kフラット(東京都府中市)
登場シーンは0:41:27。杏が母親から離れるために用意された住居。
杏、多々羅、桐野が、右側の駐車場部分から移動して建物に入ります。
桐ケ丘中央公園(南エリア)
東京都北区にある公園。多々羅が問い詰められているシーンで利用されました。時間は1:06:39。
都営桐ヶ丘1丁目アパート38号棟の「38」が背景に見えています。
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