皆さんは、「箱男」と聞いてどんなイメージを持ちますか?
- 頭から箱をかぶった人
- 箱の中に住んでいる人
- 箱の中から、外の世界をのぞいている人
どれも正解ですが、解釈は人によって様々です。
映画を見たらなおさら。
2024年8月23日に公開された映画「箱男」の感想をさっそく共有します。
映画「箱男」とは?
この作品は、安部公房の同名小説を原作としており、第74回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門に出品された注目の文芸映画です。
監督は石井岳龍氏、主演は永瀬正敏さん。共演には浅野忠信さん、白本彩奈さん、佐藤浩市さんといった豪華キャストが名を連ねています。
物語の概要
ある日、一人のカメラマンが偶然「箱男」を目にします。箱男とは、段ボール箱を被って街を歩く謎の存在です。完全な孤立と孤独を得て社会から外れた箱男に心を奪われたカメラマンは、自分も箱男になろうとします。
しかし、本物の箱男になる道は決して平坦ではありません。箱男を襲撃するものが現れては戦ったり、箱男を乗っ取ろうとする医師が現れるなど試練が立ちはだかるのです。
映画の感想 ※ちょっとネタバレあり
原作を読んでからがオススメ
一般的に、「原作がある場合は、映画は原作の良い部分を凝縮したものだから、映画を見てから原作を読んだ方がよい」と聞きます。
しかしながら、この作品は原作を読んでから映画を見た方がよいと思いました。
というのも何を言いたいか理解するのが大変な映画なので、小説で意味を理解して見た方がよいかも?
私自身は原作は読まずに映画を見ました。
(2024/8/26追記)
「原作を読んでから映画を見た方がよい」と書いたんですが、申し訳ありません。完全な誤りでした。というのも、原作は映像がないためより難解でした。原作なんか気にせず、エイヤーという意気込みで映画を見に行った方がよいです。どうしてもストーリーを知っておきたいという方は、原作のP.239~P.246の解説を読むか、Wikipediaを読んでください。
撮影は大変だったよね
この映画の制作は、決して容易なものではなかったと想像できます。
例えば、段ボールを被ったまま襲撃者と戦うシーンや、階段を上るシーンなどは、俳優さんにとって大変な挑戦だったことでしょう。
特に、段ボールを被った状態での演技は、視界が制限され、動きも制限されるため、非常に難しかったはずです。
俳優さんの腰や膝への負担も相当なものだったと思われます。
しかし、そうした痛みにたえるのも「箱男」という存在の一部なのかもしれません。
箱男を箱男たらしめているのは段ボールではなく書き物だ
「箱男を箱男たらしめているのは段ボールではなく書き物だ」というシーンがあります。
そのシーンを見て思ったのは、私たちは自分たちの意思で動いているのではなく、誰かの意思で動かされているなということ。
国家、会社、家族、友人、さらにはマーケティングなど、様々な外部要因によって私たちはコントロールされているのかもしれません。
白本彩奈さん(葉子役)
白本彩奈さんが出演されていましたが、鼻がめちゃめちゃ高いんですね。
きれいな顔立ちの女優さんだなと思いました。映画のシーンにもドキドキしてしまいました。
箱の中は迷路のようだ
「箱の中は迷路のようだ」というセリフ。
私たち自身の考えや思考が迷路みたいだと言っているのかもしれないです。
考えても考えても答えが出なかったり、行き詰ったりというのを表しているのかもと感じました。
息遣いの演出
多くのシーンで箱男の息遣いが聞こえるという演出は、観客に「箱男はあなただ」というメッセージを伝えようとしているのかもしれません。
実際に映画の中でも、私たち一人一人が、社会の中で箱男のような存在であると伝えています。
音楽が好き
これから展開される不思議な物語への期待感を高めてくれます。この音楽は映画にぴったしだと思いました。
映画の雰囲気
全体的に暗い雰囲気の映画ですが、その視覚的な演出は人間の内面を表現しているようです。
箱の中が迷路のようだという描写は、私たちの思考や心の中の複雑さを表しているのかもしれません。
メタルギアソリッドとの関連性
興味深いことに、この映画は人気ゲーム「メタルギアソリッド」との類似点があります。
メタルギアソリッドの小島秀夫監督は、「箱男」へのオマージュとして、ゲーム内に段ボール箱を登場させています。
映画では、段ボールを被ったまま移動したり、隠れたり、戦ったりするシーンがあります。
これはまさに、メタルギアソリッドのゲームプレイを彷彿とさせるものです。
実写版で見ると少しシュールな印象を受けますが、ゲームファンにとっては興味深い要素となっているでしょう。
結局、箱男って何のこと?
映画の最後に、「箱男とはこの映画を見ているあなた自身だ」というセリフがあります。
匿名性が確保され、外部から隔離された状態で、世の中を覗いているのは私たち自身だということ。
見るのは得意だけど、見られるのは得意ではないといった特徴も当てはまっていると思いました。
箱男の本質にたどりつくには?
先日読んだイニシエーションラブと同じで、箱男も小説をじっくり読んだり、解説サイトがないと物語を100%知れないんだろうなと思いました。
これが伏線だったのか!
こういう意味だったのか!
が気づいていないだけでたくさんあるはず。
よくわからなかったこと
私は次のことがよくわかりませんでした。みなさんはどう思いましたか。
- ニセ箱男はどうやって箱男を見つけたんだろう?なぜ箱男にあこがれたんだろう?
- 箱男が安部医院に入ったあとに、安部医院自体に段ボールで目隠しし始めたのはなぜなんだろう?箱を拡張したかったから?
⇒心を許せる人(葉子)ができたからかも。同じ空間をいっしょに過ごせる人ができたから、段ボールに籠るのではなく、安部医院の建物に目隠しを始めたのかも。ただ箱男はそれでも足りず箱男の中に箱男を作ってしまった。 - 葉子(白本彩奈)は、なぜあんなにも箱男にもニセ箱男にも従順だったんだろう?
- 葉子(白本彩奈)は、どういう役割・意味があったんだろう?自分自身が箱男だと気づかせるため?箱男から抜け出してもらうため?
小ネタ
安部医院には、肛門科があったはず。だからあの器具が使えたのか!?
口コミ
ストーリーはちょっと難解
「箱男」、ストーリーはちょっと難解わかったようでわからないけど落とし所はなるほど、と🤔ELECTRIC DRAGON 80000V大好きマンとしては劇中の箱男頂上決戦には絵面のシュールさは置いといてwテンション上がった!!
あの子のお尻嗅ぎたい
俺もあの子のお尻嗅ぎたい話。原作も知らず学もない俺には理解不能。何がなんだか全く分からない。もぅマヂ無理。腰痛そうだなぁとしか思えない。鑑賞後、安部公房の箱男を軽く斜め読みしてみたけど、こんな哲学的な話を2時間で纏めるのは無理がある。もっと分かりやすく作ってくれ。
結論:私にとっての「箱男」
映画の中で語られる「箱男とはこの映画を見ているあなた自身だ」というセリフ。
私たちは、ある意味で皆「箱男」なのかもしれません。社会の中で匿名性を保ち、外部から自分を守りながら、世界を観察しています。しかし同時に、自分が見られることには抵抗を感じます。
次に「箱男を箱男たらしめているのは段ボールではなく書き物だ」というセリフ。
これは、私たちが自分の意思で動いているようで、実は社会や周囲の影響を強く受けているということを示唆しているのではと思いました。
国家、会社、家族、友人、さらにはマーケティングなど、様々な外部要因によって私たちはコントロールされているのかもしれません。
この映画は、そんな現代社会の姿を鋭く切り取っているように感じました。
一見すると難解で理解しがたい作品かもしれませんが、じっくりと考えれば考えるほど、私たちの日常や社会の本質が見えてきました。
あなたは映画「箱男」をどのように解釈しましたか?
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 【映画】箱男とは何か?【13個のポイントで感想を話そう】 皆さんは、「箱男」と聞いてどんなイメージを持ちますか? […]