【失敗プロジェクトにうんざりしていませんか?】CIO/IT責任者が語る、DX時代を打ち勝つための30の提言

こちらの本、タイトルで損しているかも。

なぜならタイトルが、エラい人向けの本に感じられるから。

正式なタイトルはこちら↓

CIOが日本の経済と企業を変えていく時代がやってきた
CIOIT責任者が語る、DX時代を打ち勝つための30の提言

たしかに「CIO」が2回、「IT責任者」が1回タイトルに出てくるので、そう思ってしまうのも無理はありません。

ですが、DXを推進する部隊や情報システム部門でプロジェクトリーダーをやっている人にも読んでもらいたい本です。

というのも方針を作るのはCIOだったとしても実際に作業するのは現場にいるプロジェクトリーダーだから。

さっそくレビューします。

CIOはChief Information Officerの略で、最高情報責任者を意味します。経営戦略に沿った情報戦略やIT投資計画の策定に責任を持つ役職です。ITパスポート試験で出題歴ありです。

目次

総合評価&目次

総合評価

★★★★(星4)

こちらの本は上司から薦められて購入した本です。

たしかに自分だけだったらまず手に取らなかっただろうなと思います。

というのも

  • 情報処理技術者試験の参考書と同じくらい分厚い
  • 小難しいことがたくさん書かれていそうな表紙
  • CIO・IT責任者向けと思わせるタイトル

だったからです。

でも手に取ってみると

  • 地に足がついたアドバイス
  • ぼんやりと思っていたことが言語化されている
  • 私の考えを改めさせられる内容

がいっぱい書かれていました。

そのため星4としています。

目次

はじめに

第1部 企業におけるデジタル化の現状とあるべき姿
 第1章 日本企業におけるIT化/デジタル化の課題
  1.IT化/デジタル化に遅れた日本企業の実態
  2.日本企業のIT化/デジタル化はいつから遅れたのか
  3.日本の企業はなぜIT化/デジタル化が遅れたのか

 第2章 DXへの誤解と推進への課題
  1.経済産業省「DXレポート」に対する企業への誤解
  2.急激な社会環境の変化によるIT対応で足をすくわれた
  3.標準化の失敗がツケになっている
  4.基幹システムを刷新するDXが進まない「ヒト」問題を逆手に取る

 第3章 DX戦略・デジタル化はどうあるべきか 
  1.戦略なきIT化/デジタル化は淘汰される
  2.情報(データ)と経営(業務プロセス)の2軸で戦略を立てる
  3.ビジネスを変革するデジタル戦略(BX by D)
  4.デジタル化時代に沿った組織改革が必要
  5.経営・事業・ITの「三位一体」でデジタル化を推進

 第4章 CIOは何をすべきかー書くステークホルダーとの関係性
  1.遅れたが、遅すぎることはない!(It is late, but not too late!)
  2.CIOは経営層とIT部門との懸け橋になる
  3.現場とIT部門との関係を良好に保つ
  4.ITベンダーとパートナー関係を築く
  5.まずはIT部門の意識改革を!

 コラム お客様への新しい価値創造ーヤンマーの事例

第2部 デジタル化への処方箋
 第1章 CIOが先頭に立つIT部門の組織変革への提案
  1.自らの意識改革で進めるIT組織の変革
  2.失敗を容認するカルチャー醸成のために何を行うべきか
  3.CIOが主導する経営の理解を得るIT戦略の進め方

 第2章 DXを進める人材育成への提案
  1.IT人材育成について
  2.組織の育成
  3.内製化への回帰

 第3章 IT部門が推進する現場の課題解決に向けたシステム構築への提案
  1.経営・事業(現場)・IT 三位一体でのシステム構築について
  2.システム構築・システム開発における失敗から学ぶ
  3.D社における2度の会計システム構築での失敗と成功について

 第4章 CIOの手腕が試されるシステム更改・切り替え時のマネジメン
  1.古いシステムの切り替えはどうすれば成功するか?
  2.製造会社の基幹システム刷新プロジェクトへのアプローチ
  3.システム統合について

 第5章 セキュリティのめざすべき目標と課題
  1.情報セキュリティ対策はどこまですべきか
  2.DX自体のOTセキュリティの在り方

 第6章 グローバル最適化
  1.グローバルITガバナンス
  2.日本企業のIT活用によるグローバル最適化~やるべきこと、やってはいけないこと~

  3.グローバル企業におけるデータマネジメントの課題と在り方
 第7章 ベンダーマネジメント
  1.ITベンダーにいかにパートナーになってもらうか
  2.ITベンダーとの関係、起用したいベンダー・避けたいベンダーの選別法
  3.ベンダーマネジメント

 鼎談 デジタル内製化時代におけるITベンダーとのパートナーシップ

おわりに

CIO Lounge DX時代を打ち勝つための30の提言
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CIOが日本の経済と企業を変えていく時代がやってきた CIO/IT責任者が語る、DX時代を打ち勝つための30の提言

この本の、ここが良かった

DXって何?

一般的にDXといえば、IoTやAIといったITを活用し、戦略的にビジネスモデルの刷新や新たな付加価値を生み出していくことを指します。

ITパスポート試験でも同じように出題されています。

しかし実際はというと「戦略的にビジネスモデルの刷新や新たな付加価値を生み出していく」がきれいさっぱり忘れられて、「IoTやAIといったITを活用」だけに重点が置かれていることが多いと感じていました。

DXは「IoTやAIを利用してビジネスモデルの刷新をする」ではなく、「業務改革」と理解したほうがよいであろうと思っていました。

本書ではDXはBX(Business Transformation)by Digitalと説明されており、この意味で理解が広がれば、現場での誤解が生まれにくく、DXが成功に近づいていくのだろうと強く思いました。

プロジェクトが上手くいかないのは、誰のせい?

ベンダーに対して「もっとしっかりしてくれよー」なんて思ってました。

自分だったら、「もっとうまいやり方するのになー」なんて傲慢な考えを持ってました。

でも本書の次の文を読んで、頭を殴られた気持ちに。

プロジェクトの失敗は多くの場合、ユーザー企業に起因する

CIO/IT責任者が語る、DX時代を打ち勝つための30の提言 P.67

ベンダー側にも悪いところがあるにせよ、自分を振り返らない姿勢がプロジェクトを失敗に近づけているのだと気づかされました。

この文を読んだだけでも、この本の価値は十分にありました。

本書の後半では、ベンダーの選び方やこんなベンダーと付き合いたいといったことにも触れられていて、ベンダー選定の際にはぜひ振り返りたい内容になっています。

30の提言

本書の後半部分である「CIO Lounge DX時代を打ち勝つための30の提言」(P.276~P.281)に本書で伝えたい内容がまとめられています。

一つ一つの提言に対して、本書のどこで解説されているかページ番号が振られているので、読み返す時に便利です。

本書のエッセンスだけを手っ取り早く吸収したい方は、提言を読んでから、解説を読むという読み方が良いのではないでしょうか。

こんな人にオススメ

オススメな人

  • ベンダーに対して「もっとしっかりしてくれよ」と思っている人
  • どのベンダーを選んだらよいか迷っている人
  • プロジェクトリーダーやPMOを担っている社内SE
  • プロジェクトの失敗を避けたい人
  • 志の高い若手の社内SE

オススメでない人

  • DXやITのプロジェクトに参画していない人
  • 電子書籍で読みたい人。(残念ならが電子版が提供されていないのです)

まとめ

Amazonでは無料サンプルが読めず、写真もないため本のイメージがつきにくいと思います。

この記事では本書の目次や良かったところを記載しているので、購入検討の役に立てばうれしいです。

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この記事を書いた人

理系脳と文系心を持つITエンジニア。情報処理技術者(高度)7区分合格。映画・本で感性を磨き、ヘルニアと闘いながらムエタイ最弱戦士として成長中。仕事と趣味を両立させながら、社会人の知的好奇心を刺激する情報を発信中。

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