エンベデッドシステムスペシャリスト 令和5年秋期 午後II【合格論文】

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の論文は、どんなレベルが求められているんだろう?

こんなお悩みを持つ方に向けて、私が試験会場で書いた論文を公開します。

思い出しながら書いた再現論文ではなく、情報処理技術者試験の答案を入手して再現したものです。

答案の入手にあたっては、次の記事を参考にさせていただきました。

情報処理技術者試験の答案を開示請求した話

ときは

初の論文試験となった令和5年秋期試験に合格しています。

今後、エンベデッドシステムスペシャリスト試験を受験される方にとって、論文の不安がなくなること間違いなしです。

目次

再現論文

論述の対象とする製品又はシステムの概要

質問項目記入項目
①名称茶園向けドローンの開発および画像分析による茶園の監視システム
②販売対象の分野3.運輸機器
③販売計画・実績2.1000台未満
④利用者3.その他(茶園(お茶の葉を育てる場所)の関係者)
⑤使用OS4.Linux
⑥ソフトウェアの行数2.全行数(新規開発と既存の合計)(約10000行)
⑦使用プロセッサ個数4.64ビット以上(2個)
⑧開発工数1.約30人月
⑨開発費総額1.約30百万円
⑩開発期間1.2020年4月~2020年9月
⑪あなたが所属する企業・機関などの種類・業種1.組込みシステム業
⑫あなたの役割4.システムアーキテクト
⑬あなたの所属チームチーム名(ドローン開発チーム)
チームの人数(約5人)
⑭あなたの担当期間2020年4月~2020年9月

本文

1.私が携った組込みシステムの概要、開発に至った経緯、要件に対して選定した基盤、及び選定で最も重要であると考えた内容
1-1. 組込みシステムの概要、開発に至った経緯

 私は静岡県のA社に勤めるドローンのエンジニアである。A社では茶園向けのドローン開発と画像分析を得意にしている。今回のシステムは 茶園向けのドローンであり農薬散布、カメラによる撮影が行えるドローンである。ドローンのカメラで撮影した画像は地上に送信され地上のシステムで画像解析を行い、お茶の生育に影響を与える病害虫(ナガチャコガネ)に侵されている箇所を特定することができる。また、特定した箇所に対してドローンで農薬散布が行えるようにしている。今回開発に至った背景は、①茶園の従事者が高齢化していることによる作業負荷軽減。茶園は分散しており、坂道が急なところもあり負荷が大きい。②労働人口の減少、③できるだけ少ない農薬の散布による食への安全アピール。この3点が開発に至った経緯である。
1-2.要件に対して選定した基盤、最も重要な点
 今回の要件は、画像解析を行うカメラなどの機能要件に加え、コストや効率性という非機能要件が重要である。それを実現するためには、バッテリーを消耗しないように軽量化を図ったドローン、また必要最少限の機能をドローンに搭載することで消費電力の抑制を図った構成となる基盤を選定した。ドローンに搭載するバッテリーは大容量のものを搭載することもできるが、その分ドローンの金額が高いものとなってしまう。茶園は利益率が非常に良いという産業ではないため、バッテリーの容量は変わらないという前提をおきつつ、長時間飛行できる基盤を選定する必要があった。それを最も重視した、軽量かつ低電力消費となるドローンである

2.最も重要であると考えた根拠、要件定義の内容及び吟味した型合性の内容、コストなどの影響を含めてハードウェアとソフトウェアで分担した内容、要件を満足するために抽出した課題、及びその解決策
2-1.最も重要であると考えた根拠

 1-2でも一部記載したが、利益率が良い産業ではないため、ドローンに積むバッテリーの大容量化、高性能化を図るのではなく、軽量化および低電力で飛行できるものとした。
2-2.要件定義の内容及び吟味した整合性の内容
 要件定義の内容としては、①全ての茶園を飛行できること、②農薬の散布が行えること、③画像の撮影を行い病害虫による影響を受けている場所を特定することであった。吟味した整合性の内容としては、3.画像の撮影を行う部分である。画修を撮影するだけでは今回の要件を満たさず、分析するところまでが今回の範囲である。分折機能を搭載すると、十分なCPU、GPUに加え、消費電力が非常に多くなってしまい、「低電力消費」が達成できなくなってしまう。この部分の整合性を考える必要があった。
2-3.コストなどの要件を含めてハードウェアとソフトウェアで分担した内容
 今回はコストの観点、消費電力の観点で以下のように分担することにした。また、①ドローンの飛行、②農薬の散布、③画像の撮影については、ハードウェアで対応することにした。また、撮影した画像については、低電力で 送信できる無線技術を採用することにした。 一方で画像の分析についてはドローンのハードウェアで対応すると負荷が高く、バッテリーの消耗が激しくなることから、ドローンから地上に送信された画像を地上にあるサーバ にて分析することでバッテリーの問題をクリアすることに成功した。
2-4.要件を満足するために抽出した課題、及びその解決策
「全ての茶園を飛行できること」が今回の要件にあるが、バッテリーとコストにおけるトレードオフの関係があった。そこを課題として抽出した。
 当然のことながら、ドローンの軽量化、低電力となる部品の採用は行っている。それに加えて、最短となる飛行ルートを飛べるようにシュミレーションを行えるようにしたことが、その解決策である。そのシミュレーシ ョンにおいては、実際の飛行した情報に加え、病害虫による 生育不良かしょなども考慮し、最短となる飛行ルートを選定した。茶園は一ヶ所にまとまっているというのではなく複数の場所に点在していることから、適切な飛行ルートを選択できれば、バッテリーの持ちが良くなると考えた。

3.ハードウェアとソフトウェアで分担した結果の評価、課題抽出の評価、課題解決の妥当性の評価
3-1.ハードウェアとソフトウェアで分担した結果の評価

 ドローンのハードウェアにおいて、画像処理を実施せず、地上にあるシステムのソフトウェアにおいて、画像処理を行うようにしたことは、バッテリーの消耗が減るのを抑制できたと思われる。この点については評価できると考える。
3-2.課題抽出の評価
 ドローンにおいては、必ずバッテリー、飛行時間、コストの課題が浮上する。バッテリーの性能向上には動向を見守りつつも、当社では別の策を検討し続ける必要がある。具体的には、①ドローンの軽量化。構造の見直しや軽量化された部品の採用などを継続して実施していきたいと考える。②低電力で利用できるカメラや無線装置の採用などがある。今回の開発においては、これらの部分も考慮しながら開発を進めることができたため、評価できると考える。
3-3.課題解決の妥当性の評価
 最短となる飛行ルートのシミュレーションを解決策として入れ、実際にバッテリー問題に寄与できたことは評価できると考える。
 今回のプロジェクトを通して、ドローンに関する知見・ノウハウがためられたことは非常に良かったと思う。また、導入したお客様にも満足いただけたことは非常にうれしく思う。今後も 努力を重ねていきたい。

以上

実際の答案

Coming Soon

まとめ

私は試験対策として次の本を購入しました。4000円を超える本なので正直高いと思われる方もいると思います。しかし、落ちるともっと高くついてしまいますので、参考書は一冊手元にあった方が良いです。

それでもきついなと思われる方は2023年度版をメルカリで購入されるのをおすすめします。というのも2023年度版以降であれば、論文対策がされているからです。最新版でなくても合格に近づけます。

おまけ

令和5年秋期 午前IIの解説はこちら↓

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この記事を書いた人

理系脳と文系心を持つITエンジニア。情報処理技術者(高度)7区分合格。映画・本で感性を磨き、ヘルニアと闘いながらムエタイ最弱戦士として成長中。仕事と趣味を両立させながら、社会人の知的好奇心を刺激する情報を発信中。

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